公益社団法人土木学会


平成27年度認定
旧函館本線神居古潭トンネル群
旭川市 竣工年:1897(明治30)年、1928(昭和3)年
旧函館本線神居古潭トンネル群は「北海道官設鉄道として建設され、わが国有数の膨張性岩盤地帯に挑み、逐次路線改良を重ねながら道内幹線鉄道輸送を支えた施設群」であります。

 京都の琵琶湖疏水を完成させた田邊朔郎が帝国大学教授職を投げ打って北海道に渡り、その能力を遺憾なく発揮して推進した事業の記念碑です。石炭の搬出を目的として整備された北海道の鉄道を旭川まで延伸し、道内各方面へ広げて内陸部の振興と北方の防備を図る計画が策定され、北海道庁鉄道部が発足しました。その最初の事業が「北海道官設鉄道 上川線」(のちの函館本線 滝川−旭川間)であり田邊が直接、指揮を取っています。この区間での最難関が神居古潭(アイヌ語「カムイ(神)コタン(集落)」)の渓谷でした。1896年(明治29)6月、工事が開始されると蛇紋岩質(空気に触れると膨張する岩質)のために掘削は難航しました。翌年にトンネルは完成、その後も険しい断崖を這うようについていた線路の路線改良工事が続き、春志内トンネル(昭和2,3年頃)、伊納トンネル(昭和2,3年頃)が掘削されています。
 戦後、函館本線(小樽〜旭川間)複線電化を機会に廃線となり、廃線転用のものとして本邦初めての自転車道「旭川市サイクリングロード」となりましたがトンネル内部の崩落が起こり始め、コンクリート巻立てによる補強工事を経て現在の姿として残っています。


1897(明治30年)〜トンネル完成
(神居古潭トンネル,伊納隧道)

神居古潭トンネル

伊納隧道

※画像をクリックすることで拡大してご覧いただけます。


北海道選奨土木遺産カード : No.36 旧函館本線神居古潭トンネル群

選奨土木遺産マップ