公益社団法人土木学会


令和4年度認定
旧茂喜登牛水路橋
足寄郡足寄町 竣工年:1958(昭和33)年
旧茂喜登牛水路橋は、PC技術黎明期に建設した当時国内最大クラスのPC桁であるとともに、約60年間以上北海道の電力安定供給に貢献した水路橋です。
 旧茂喜登牛水路橋は、北海道中央を縦断する日高山脈の大雪山を水源とする十勝川水系から発電用水を導くための導水路であり、導水路が茂喜登牛川や町道を横断するために設置された。完成年は1958(昭和33)年のPC技術黎明期でありながら、全長274m(そのうち210mはポストテンション方式のプレストレスコンクリート、64mはRCの門型ラーメン構造)であり、当時国内最大クラスのPC桁である。
 北海道の厳しい寒冷地において60年以上供用され、比較的健全な状態であったものの、耐震性と設備信頼性を図りつつ第三者被害防止に万全を期すために、埋設型水路新設後の2020年から解体撤去され、現在は1径間分(30m)しか残存していない。残存している旧茂喜登牛水路橋は調査・研究を可能としており、寒冷地での長期間供用がPC桁に与える影響の把握や、その他得られた知見はPC構造物の設計・施工・耐久性評価の基礎資料となりえる。土木技術面の価値が高いことから、土木学会の第三種委員会が設立され、PC構造物やPC技術への貢献を目的に調査・研究の対象とされた。
 旧茂喜登牛水路橋は約60年間以上北海道の電力安定供給への貢献と共に土木技術・PC技術の発展に寄与という点で貴重な土木遺産である。

写真1 解体撤去前の茂喜登牛水路橋

写真2 現在の旧茂喜登牛水路橋

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関連活動団体の紹介
土木学会363委員会
(プレストレストコンクリート黎明期に建設された茂喜登牛水路橋の解体調査研究小委員会)
J-POWER 電源開発株式会社