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土木学会

土木学会 論説委員会


第24回論説(2) 総合医療としての新たな社会資本整備の姿 (布村明彦/論説幹事)
論説幹事 布村明彦
近代の社会資本整備は、交通量や河川流量といった単一目的的課題解決を図ってきた。多大な効果の一方、傷跡や副作用が生じることがあったり、目的外の効果は評価できていない。世界的に、不況対策として新しいタイプの社会資本整備が求められている中、人や生物のつながりなども含むパッケージ型の社会資本整備のデザインや実施を土木は担うべき。
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第24回論説(1) 土木学会から契約約款の発刊を
(小澤一雅/東京大学工学系研究科・教授)
東京大学工学系研究科・教授 小澤一雅

依頼論説

土木学会から公共事業で活用できる契約約款の発刊を考えては如何であろうか。土木学会は、産官学の技術者が対等に議論できる場であり、技術や技術者を公共事業の現場で有効に活かすためにも、契約約款を発刊する意義は大きいと思われる。
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第23回論説(2) 自然災害への対策と土木技術者の役割
―途上国での高潮・津波調査結果を踏まえて―

(柴山知也/早稲田大学理工学術院教授(横浜国立大学名誉教授))
早稲田大学理工学術院教授(横浜国立大学名誉教授) 柴山知也

依頼論説

 災害調査手法の精緻化、行動的土木技術者の出現、数値予測法の進歩により、減災技術の向上は顕著であり、地域ごとに具体的な災害イメージを持つことが可能となった。予測できる被災を経済的、社会的な条件により、放置することは許されない。科学的検討結果を土木技術者の立場から、早急に社会に伝達していく必要がある。
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第23回論説(1) 新しい社会のニーズと土木の役割 (西脇芳文/論説幹事)
論説幹事 西脇芳文
 昨年秋の金融危機により、我が国経済は、大きく毀損してきている。土木界として、日本経済の再起のため、新たな潮流をよく見極め、社会のニーズに応えていく必要がある。低炭素社会の実現に向けた動き、国際貢献の活発化など土木技術者の活躍する分野は、拡大している。社会とのコミュニケーションをしつかり行い、他分野とのコラボレーションにより、社会の期待に応えて行くことが重要である。
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第22回論説(2) 土木のリセット!してみませんか? (佐々木 葉/論説幹事)
論説幹事 佐々木 葉
私の所属学科の新入生や卒業していく学生は、ものつくりやまちづくりに魅力を感じ、それを通じて世の中のためになる仕事をしたいと考えている。彼らの抱く素朴な疑問や希望に直接向き合って、それに答えるべく諸問題の根源をできるだけさかのぼって考えることが必要ではないか。
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第22回論説(1) 二つの危機を乗り切るために
(石井 弓夫 / 建設技術研究所代表取締役会長・土木学会第95代会長)
建設技術研究所代表取締役会長 石井 弓夫

依頼論説

世界は経済危機が大恐慌に進んで行くことを恐れている。しかし真に恐れるべきなのは地球温暖化という人類の危機である。温暖化による災害の対策には巨額の公共投資が必要となろう。公共投資は無用論によって縮小を続けてきたが、この投資によってのみ温暖化災害と経済危機という二つの危機は同時に乗り切れるのである。
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第21回論説(2) チーム水・日本 (丹保憲仁/論説委員長)
論説委員長 丹保憲仁
21世紀は水の世紀であるといわれている。いまのままの水の使いかたでは、大増殖しつつある人類の未来があやういと考えられ始めている。巨大で複合的な水問題に世界を挙げての取り組みが始まっている。わが国でも、政・財・学・官の力を集めて「チーム水・日本」を発足させようとする機運が具体化しつつある。内国的に終始してきた社会基盤施設としての水システムを、日本発の世界標準にしようと考え始めるのは画期的なことである。どのように考えるかの私見を述べてみたい。
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第21回論説(1) 若い人たちは待っている (大垣眞一郎/論説委員)
論説委員 大垣眞一郎
水道、下水道をはじめ多くの社会的共通資本の基盤整備は、基本的に国内産業として発展してきた。しかし、すべての社会的課題と産業活動が世界化している中、産業としてのこの特徴は、世界の中でものを考える若い人たちを惹きつけない。社会基盤整備分野の国際展開の仕組みを作り、若い世代が活躍できるようにしなければならない。
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第20回論説(2) 変動の激しい中で公共財を運営する上で考えていかなければならないこと (井上啓一/論説委員)
論説委員 井上啓一
 世界的な金融危機が、国家財政や企業活動、家計まで直撃する状況の中で、自らの利益のみを考え顧客の利益を無視し、コンプライアンスに反したために結果として企業存続を危うくする事例が見られる。公共財の管理運営を担うことの多い土木技術者は、一般の社会人以上に自らの役割を認識して充分自覚して行動する必要がある。
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第20回論説(1) 基礎力を備えた研究者の育成と確保 (楠田哲也/論説委員)
論説委員 楠田哲也
大学教員や研究者の業績評価が強化され、研究費配分方法が変化してきたことにより若き研究者の研究課題選択行動に変化が生じ、基礎力を必要とする研究課題が回避されると共に解決能力も養成されなくなりつつあるようである。土木界の「学」を持続性のあるものにするために検討が急がれる。
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第19回論説(2) 土木事業の行くえ (中村英夫/武蔵工業大学 学長)
武蔵工業大学 学長 中村英夫

依頼論説

 土木事業の内容はかつての必需形あるいはその後の戦略形そして近年の効率化形が減少し、今後は高質化指向の事業や補修改良形のものとならざるを得ない。その必然性と対応策などについて述べる。
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第19回論説(1) 建設産業の改革と建設契約の位置づけ (草柳俊二/論説委員)
論説委員 草柳俊二
 建設プロジェクトとは、発注者と受注者が互いにその機能を連結し、補完し合って成り立つものである。この構造を作るには遂行実態が"馴合いの構図"とならないような方策が必要となる。契約はその機能を果たすことになる。日本の建設産業はこの前提が漠とした状態で発展を続けてきた。国民の信頼回復の出発点は契約に関する認識の変革である。
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第18回論説(1) 知的財産権について (内藤廣/論説委員)
論説委員 内藤廣
 知的財産権の問題に関して、我が国は諸外国に遅れをとっている。特に著作権について、工業製品の輸出大国でありながら国内企業にこの意識が薄いことは異様である。建設分野においても同様で、ことに官需中心の土木にあってはこの意識が薄い。土木が社会と共にあることは言を待たない。その社会とのインターフェイスであるデザインに関して、知的財産権の観点から論述したい。
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第18回論説(2) 日本の土木技術の国際的存在感を確保せよ (日下部治/論説委員)
論説委員 日下部治
国際会議の招致・開催・参加と、設計ツールとしての解析プログラムの開発・国際的普及の実態を見ると我が国の土木技術の国際的な存在感が失われつつある。その確保にむけて、産官学の協働による国際的リーダの育成と、学会活動のさらなる国際化が必要である。
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第17回論説(1) 「年功序列」社会と「能力主義」社会 (魚本健人/論説委員)
論説委員 魚本健人
近年の我が国の経済事情から企業の組織が「年功序列」型から「能力主義」型へと変貌している。従来の「年功序列」型組織はどちらかというと若い技術者にとって種々の点で不利になっているが、早晩「能力主義」型組織へと変わらざるを得ない状況にある。しかし、我が国の場合、まだ社会も企業もその多くは従来の「年功序列」型でシステムが基本にあり、新しい「能力主義」社会へと変貌するためには多くの点で検討する必要がある。今後の我が国を考慮すると20歳代の若い技術者の意見を多く取り入れることが必要である。
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[ 1コメント ]
能力主義、一見分かりやすい言葉だ。他人とうまくやっていける、組織行動などはオールマイティな能力かもしれないが、そこにビジネスがある以上スコープも存在する。組織の中で個人の評価を考えると、スコープは、たとえば所属会社の部署内もあるし、それを越える場合があるかもしれない。能力には、スコープがつきまとう、それが今の組織や体制にマッチングするか考えてみないといけないように思う。
(フェロー会員 2008.11.6)

第17回論説(2) 土木の将来ビジョンと人材育成 (堀正幸/論説委員)
論説委員 堀正幸
 インフラ整備が充足されたレベルになりつつある現在、土木分野に対する一般社会からの期待や魅力は、不鮮明になりつつある。その為、未来社会、国土や自然のあるべき姿、企業の社会的貢献、目指す方向、その達成に土木技術者が何を期待され、貢献できるのか、を具体的に示すビジョンを社会に明らかにしておくことが必要である。このことが、次世代の人材育成とその確保につながる最大の方策であろう。
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第16回論説(2) 冗長性のあるストック設計 (米田雅子/論説委員)
論説委員 米田雅子
 現代日本の建物の多くは、フロー的な設計をストック的な技術で実現した疑似ストック建築である。ストックとしての建物をめざすならば、躯体の冗長性を包含した設計が重要になる。土木の世界でも、社会の変化に対応できる冗長性のあるストック設計の重要性が増している。初期コスト重視の世間の風潮のなかで、土木技術者はその意義を情報発信していくべきである。
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[ 2コメント ]
米田先生の論調は、歴史的な考察も含め非常に明快で多いに賛同かつ敬服させられました。特に、土木技術者として、後半部分の「変化する社会に対応でき、かつ長寿命なインフラの整備」そのための「冗長性のある設計」の必要性は多いに感じています。私どもも地方で「次世代システム研究会」なるものをたちあげていますが、今後のインフラのあるべき姿などもう少し、突っ込んだ先生のお考えの現れた論文、著書などありましたらご紹介いただけないでしょうか?
(正会員 2008.11.4)
コメントをありがとうございます。「次世代システム研究会」で、今後のインフラのあるべき姿をご研究されておられるとのこと。厳しい時代こそ、筋を通した研究が必要であり、とても有意義なお取り組みだと拝察いたします。私の著書に、『建設業 再生へのシナリオ』 (彰国社/平成12年)があります。その第11章「工業社会を越えて」にストックとしての建築を考察しております。この本は主に建築分野を対象にしていますが、多くの事柄が土木分野にも共通しており、参考になる部分もあるかと存じます。
(米田雅子 2008.11.7)

第16回論説(1) 科学技術の研究動向における建設系の状況 (土岐憲三/論説委員)
論説委員 土岐憲三
 現在の科学技術政策は選定された8分野を対象として重点化しており、それらに関わる各種の専門分野間の融合と連携が行われている。建設系は「社会基盤」が本拠地であるが、そこにとりこもりがちである。また、土木と建築の融合も十分ではないが、大学の大型のプロジェクトでは、次第に壁が取り払う努力が進んでいる。
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第15回論説(2) 土木工学に生態学の知見を (近藤徹/論説委員)
論説委員 近藤徹
 国土は、単に人間の生活・活動基盤であるばかりでなく、生物群集の生息・生育空間でもある。国土の整備を扱う土木工学は、従前構造力学、流体力学を基盤に構築されてきたが、今後は基盤に科学としての生態学の知見を取り入れて再構築する必要がある。
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第15回論説(1) 技術革新が創出する新しい時間管理概念 (塚田幸広/論説幹事)
論説幹事 塚田幸広
 社会資本整備の事業期間を短縮する効果を評価する時間管理概念は、本格的に展開・定着してきた。一方、ETCの導入・展開による渋滞解消の例にみるように、技術革新の開発・導入により十分な機能、効果が非常に短期間で得られる実例が評価されつつある。今後、技術革新による新しい時間管理の考え方を積極的に広め、併せて社会実験等で評価・導入する仕組みを構築することが重要である。
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第14回論説(2) プロジェクトづくり (森地茂/論説委員)
論説委員 森地茂
 近年の社会状況の中で、プロジェクトを発案することに対する土木技術者の意欲が減退していないであろうか。広域地方計画や様々な競争型支援制度が作られる中、土木技術者に、わが国や地域のおかれた状況に対する洞察力、将来像への構想力、実行のための行動力を備え、積極的にプロジェクトを仕立てる熱意と努力が求められる。
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第14回論説(1) 「設計」ということを再考する (清野茂次/論説委員)
論説委員 清野茂次
 設計とは「創造」と「科学的証明」の組合せで、その成果を他の人びとに伝達できるよう「情報化」することであるとし、設計における創造行為の重要性について述べる。また、低炭素社会の構築が重要な課題である現在、設計の段階でどうあるべきかを提言し、設計者の役割とその可視化について述べる。
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第13回論説(2) 若き人達へ〜土木の魅力 (青山俊樹/論説委員)
論説委員 青山俊樹
 激しい公共事業叩きが続く中、土木技術者、特に若き技術者に自然界と人間をつなぐ土木の魅力を語りかける。
 土木は自然の神秘とそれへの畏敬を感じることが出来る技術であり、それとともに人を知り、人と交わり、人への洞察を深め、かつ今だけでなく、100年後、1000年後に思いをめぐらす技術である。
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[ 1コメント ]
青山氏は,土木の魅力を知って欲しいという考えからこの論説を執筆されたのだと思いますが,最初に,「私達も反省すべき面が多々ある」ということでした.
市民あっての公共事業ですから,公共事業に関わっている者がすることとしては,「反省すべきことは何か」,「一般市民の方は,公共事業に関してどんな部分をどのように反省して欲しいとしているのか」の2点について,しっかり調査を行い,それに基づいた論説が必要であると感じました.
それを乗り越えて,初めて,「土木を通じて自然,人間の面白さを感じて欲しい」といった話に進んでいくような気がしました.もちろん,パラレルに進んでも良いですが,公共事業批判に関する意見を一般から吸い上げて,それに基づいた論説もあってもよいような気がします.
(正会員 2008.7.9)

第13回論説(1) 防災・環境問題に関する学協会横断的研究のすすめ (濱田政則/論説委員)
論説委員 濱田政則
 ミャンマーでのサイクロン災害と中国四川省の地震災害は「21世紀が災害の世紀になる」ということを実感させる被害となった。自然災害や環境問題に効果的に対応するためには、学協会を横断した学際的調査研究が重要である。土木技術者には分野横断的なリーダーシップが求められている。
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[ 1コメント ]
横断的な研究の必要性は,たぶん,当会会員のみならず,多くの方々が,濱田氏の指摘を待つまでもなく,そう感じていると思う.重要なのは,「なぜ,必要であるにも関わらず,今まで学際的取り組みがなされていないか」であり,その点を論説委員独自の経験からの切り口で論じていただきたいと感じた.
(正会員 2008.6.30)

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